外国人技能実習制度
旅館の課業管理

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制度導入に向けた旅館の課業管理(1)

 令和2年2月から2号対象職種、つまり3年間技能実習として受け入れ可能な職種に「宿泊業」が加わりました。慢性的に人手不足に悩む業界にとっては念願の改定です。しかし折悪くのコロナ禍でインバウンドはもとより旅行業全体が大変な影響を受けたことはお話するまでもないでしょう。当然、中には人手不足が一気に解消・・・どころか社員に休暇を取ってもらいながら助成金で賃金を賄う状況になり、入国規制等で往来がままならないことも加わり、技能実習生への関心がトーンダウンしている事業者も見受けられます。しかし中には、アフターコロナにおける人材として熱い視線を向けている会社もあります。
 そんな宿泊業者(温泉旅館、45室)からこんなお尋ねがありました。「実習生にはどんな仕事からさせればいいのでしょうか。日本人の高卒社員を受け入れるのとどう違うのでしょうか。」 もちろん技能実習ガイドラインに沿った業務であることは言うまでもありませんが、私は次の「2つの軸」で館内の仕事を整理してみることを薦めています。
 軸の一つは「定型業務⇔非定型業務」、もう一つは「日本語使用場面が多い⇔少ない」です。これをマトリックスの4象限に置き、館内の各業務をプロットしたときに、「定型・日本語少ない」が1番、「非定型・日本語少ない」が2番、「定型・日本語多い」が3番、「非定型・日本語多い」が4番、この順に3年間の計画を立てます。疑問に思われるのが2番と3番、どうしてこの順位になるのかという点でしょうか。
 実は技能実習生で日本に来る若者は選抜されて来るだけあって、考える力・応用力についてはそれなりの能力を持っている場合が多いのです。一方で日本語の習得にはそれなりの時間がかかるため、仕事面での応用の方が、日本語の上達よりも早いことからこうアドバイスしています。具体的な業務で挙げると、最初に取り組む「定型・日本語少ない」業務とはルームメイド・清掃・配膳などの業務ということになるでしょう。ちなみに例えば日本人の高卒社員との違いは、この2と3が逆になるということでしょう。
 これは旅館に限った方法ではありませんが、早く戦力化したい、少しでも高度な仕事を覚えて欲しいという事業者さんは、日本語と仕事を切り離して教えることも検討の一つとなるでしょう。(代表理事 細江 英明)

制度導入に向けた旅館の課業管理(2)

 宿泊業での技能実習導入時に考慮すべき課業管理という点では、特に生産性向上の観点から『課業分解』が必須です。仕事を機能別・目的別に合理的な単位とした「課業=タスク」を更に細分化する概念を「課業分解」といいます。例えば宿泊業には「客室清掃」という課業(タスク)があります。そしてこの課業は「忘れ物点検」「備品チェック」「電化製品の稼働チェック」「清掃」「アメニティ設置」「最終チェック」という更に細かい課業に分解されます。これが課業分解です。これら課業の一つひとつを分析・評価して「難易度」「品質不良となった際の事業への影響」などから「どの仕事から実習生に教えるか(担当させるのか)」を生産性向上の視点も踏まえて計画化することが、課業分解を用いた課業管理です。
 客室清掃の例で言えば、これが本来2人1組で行う仕事で、複数の実習生を受け入れた場合、まずは教育を担う日本人熟練スタッフと実習生が2人1組で取り組み、ある程度習得が進んだ段階から、実習生同志で組んで行い最終チェックだけ日本人スタッフが行う体制に移行します。もちろん実習生同志の体制に移行したスタート期間は、2人の役割分担や作業の正しくスムーズな流れやスピードなどの指導も必要です。そしてある程度任せられる段階に入れば最終チェックまでの時間、日本人スタッフは別の熟練が必要な業務に取り組めますからトータルでの組織としての生産性は高まることになります。
 この通り実習生に仕事を教える(任せる)手順は、普段、職場での課業管理で扱われている単位だけではなく更に細分化して検討することで、生産性の高い実習の実現につながります。
 最後に誤解を招かないために申し添えますが、ここでの生産性向上とは、継続可能な技能実習受入体制の確立、換言すると実習生と企業との「Win-Win関係」づくりの方向性を述べています。技能実習計画策定の際に盛り込む一つの視点として捉えていただくことが適当でしょう。(代表理事 細江 英明)
ピープルジャパン協同組合
代表理事 細江 英明

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